
受水槽・給水系統の監視を、有線接点+LoRaWANハイブリッドで実現
背景・課題
食品工場の屋外には、受水槽・ポンプ・給水系統など、生産ラインを支える水関連設備が点在しています。これらの設備では、異常を知らせる警報接点が敷地内の警報盤のみで完結しており、受水槽の水位も危険水位でしか把握できない状況でした。
加えて、工場が多拠点に分散しているため、人手による巡回点検の負担が大きく、異常が発生してから一次対応までにタイムラグが生じるというリスクがありました。労働力不足が進むなか、人が現場に行かずに設備の状態を把握できる仕組みが求められていました。
課題は、制御盤の全面更新が時間・コストの両面で現実的ではないこと。既設の制御盤を活かしたまま、屋外の配線困難な箇所まで含めて監視対象を広げる手段が必要でした。
提供したソリューション
既設制御盤の中に産業用 IoT ゲートウェイを組み込み、警報接点 12ch を DI で直接取り込む構成を採用しました。受水槽には LoRaWAN 超音波水位センサー を設置し、配線困難な屋外箇所を無線で補完。盤内に LoRaWAN ゲートウェイとローカル LoRaWAN サーバ も構築し、敷地内で完結する無線ネットワークを構成しました。
ゲートウェイ上で閾値判定・アラームロジックをエッジ側に持たせ、異常時は DO 出力で盤側への通知も行います。全データは MQTT over TLS でクラウドに送信し、ダッシュボードでの可視化とメールによる即時通知を実現しました。

盤内部(設置途中)

屋外設置の LoRaWAN 水位センサー
システム構成
屋外の水位センサー(LoRaWAN 接続 ×3 本)と、既設制御盤の警報接点(DI 12ch)を、盤内の IoT ゲートウェイに集約します。敷地内に設置した LoRaWAN ゲートウェイと、盤内のローカル LoRaWAN サーバにより、無線通信は敷地内で完結します。
IoT ゲートウェイは閾値判定と現場通知(DO 出力)をエッジで行い、クラウドへの通信は MQTT over TLS による暗号化通信。クラウド側では状態可視化ダッシュボードとメールによる異常通知を提供します。

AWS 上に実装した状態可視化ダッシュボード
この構成のポイントは、クラウド通信が途切れても現場の安全と運転継続性が保たれること。 閾値判定と DO による盤側通知はエッジで自律動作するため、通信障害時にも現場の初動判断材料は失われません。
成果・効果(Before / After)
導入前は、複数拠点を巡回点検し、警報は現場の表示灯でのみ確認で、異常発生から把握までタイムラグが生じていました。屋外への配線敷設コストも高く、監視範囲の拡大には大きな壁がありました。
導入後は、全警報と水位をリアルタイムで遠隔監視できるようになり、異常時は即座にメール通知が届くため初動が早くなりました。配線困難な屋外は LoRaWAN で無線化、通信断時も盤側通知が継続する自律動作により、現場の安全は担保されたまま、巡回回数を大幅に削減しています。
広範囲の設備を限られた人員で確実に守る運用が実現し、異常の早期把握による被害最小化は、食品工場にとって衛生・品質リスクの低減に直結します。
使用技術
- 産業用IoTゲートウェイ
- LoRaWAN 超音波水位センサー
- MQTT over TLS
- AWS(ダッシュボード/メール通知)