電波で"土の水分"を読む ― センシフィア社の SFDT 方式センサーを LoRaWAN と LTE-M でつなぐ

電波で"土の水分"を読む ― センシフィア社の SFDT 方式センサーを LoRaWAN と LTE-M でつなぐ

電波で"土の水分"を読む ― センシフィア社の SFDT 方式センサーを LoRaWAN と LTE-M でつなぐ

はじめに

当社はこれまで、RS485/Modbus インタフェースを持つさまざまなセンサーを、LoRaWAN や LTE-M で IoT 化してきました。

今回、株式会社センシフィア様のご厚意で、開発中の土壌水分センサーの試作機をお借りする機会をいただきました。電波を使って土の水分を測るという、とても特徴のあるセンサーです。

このセンサーを、次の 2 つの経路でクラウドにつなぎ、土壌水分の値を遠隔で取れることを確認しました。

  • LoRaWAN:Dragino 社の RS485-LB
  • LTE-M:当社の LTE-M v2 基板 + RS485 拡張基板

センシフィア社と SFDT 方式

センシフィア社は、株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)とソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社によって設立された合弁会社です。RF センシング技術を農業分野に展開し、データに基づく持続可能な農業の実現を目指しています。

同社の土壌水分センサーの核になっているのが、独自の SFDT(Spatial Frequency Domain Transmissometry)方式です。同社の公開情報によると、特徴は次の 3 つです。

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SFDT 方式の特徴(センシフィア社 公開情報より)

- 空間計測:アンテナ間の土を丸ごと体積平均するので、電極近傍の隙間に左右されない
- 高周波領域:1GHz 超の高周波を使い、塩分や肥料成分の影響を抑えて水分だけを捉える
- 挿せば使える:先端を挿すだけで、向きや設置面の制約がほぼなく、培地を選ばない

従来の土壌水分センサーは、センサーと土の間にわずかな隙間があるだけで値がばらつきやすく、「目安」としてしか使いにくい、という課題がありました。同社はこれを「参考値」から「判断基準」へ変える、と表現しています。潅水の自動制御まで見据えると、ここは本当に大きな違いです。


Dragino RS485-LB とセンサーのプローブ
Dragino RS485-LB とセンサーのプローブ

左が Dragino RS485-LB、右がセンサー。先端の 2 本の間の空間を測ります。

今回の構成

今回お借りしたセンサーは、RS485/Modbus-RTU でつなぎました(同社の公開情報では、インタフェースは「SDI-12 もしくは RS485(Modbus)」とされています)。RS485/Modbus は産業用センサーでは標準的なインタフェースなので、当社が普段扱っている通信デバイスにそのままつなげられます。

【 経路 1:LoRaWAN 】

  [土壌水分センサー]
        │  RS485/Modbus-RTU
        ▼
  [Dragino RS485-LB]
        │  LoRaWAN
        ▼
  [ゲートウェイ]
        │
        ▼
     クラウド


【 経路 2:LTE-M 】

  [土壌水分センサー]
        │  RS485/Modbus-RTU
        ▼
  [当社 LTE-M v2 基板
   + RS485 拡張基板]
        │  LTE-M
        ▼
     クラウド

データとして取り出したのは、同社がセンサーの機能として公開している 土壌水分率(体積含水率 VWC) と 土中温度 です。

経路 1:Dragino RS485-LB で LoRaWAN

1 つ目は、当社で実績の多い Dragino 社の LoRaWAN デバイス RS485-LB です。電池で動き、RS485 のセンサーから値を読んで LoRaWAN で送ってくれます。ソフトウェアが共通の同系統機種に、RS485-LS もあります。

RS485-LB は、センサーへの給電や読み出しのタイミングを、AT コマンドの設定だけで細かく調整できます。ファームウェアに手を入れずに、このセンサーに合わせた設定を組めたのは、この機種の懐の深さのおかげです。

受信したデータは、当社のデモアプリ(ダッシュボード)で可視化しています。


LoRaWAN 経由で受信した体積含水率と温度をダッシュボードに表示
当社デモアプリでの受信画面

センサーは水に浸けた状態です。

20 分間隔で送り続けた記録が次のグラフです。

約 9 日間の体積含水率と温度の推移グラフ
約 9 日間の推移

2026/08/25〜09/03 の記録。体積含水率は 78〜80% 付近で安定しています。

水に浸けたままの約 9 日間、体積含水率は 78〜80% 付近で安定していました。温度は 26〜27.5℃ の範囲で、室温の変化とみられる上下をしています。長期間置いても値が暴れないことは、潅水判断に使うセンサーとして大事な性質です。

経路 2:当社 LTE-M v2 基板で LTE-M

2 つ目は、当社オリジナルの IoT デバイスシリーズ ELmote® LTE-M モデル(当社 LTE-M v2 基板)です。RS485 拡張基板が、センサーへの給電と RS485 通信に対応します。

こちらはゲートウェイが要りません。センサーの値を、携帯電話の基地局経由で直接クラウドへ送ります。

LTE-M 経由で受信した値をスマホアプリで表示。体積含水率 78.7%、地温 26.7℃
テスト用スマホアプリでの受信画面

体積含水率 78.7%、地温 26.7℃。

水に浸けた状態で、体積含水率 78.7%、地温 26.7℃ が届きました。LoRaWAN 経路の値(78.5%、26.8℃)とほぼ一致しています。通信経路をまるごと差し替えても、同じ値が取れることを確認できました。

空気と水で比べてみた

センサーが本当に水分に反応しているかを見るために、両極端の状態で比べました。

状態体積含水率(VWC)
空気中0%
水中78.7%

いずれも当社 LTE-M v2 基板経由で受信した値です。空気中では 0%、水に入れると約 79% まで上がり、はっきり区別できました。

なお、今回はお借りしている試作機を傷めないよう、実際の土には挿していません。圃場や培地での評価は、今後の課題としています。

LoRaWAN と LTE-M、どう選ぶか

同じセンサーに、2 つのつなぎ方を用意できました。農業の現場でどう使い分けるかを整理します。

観点LoRaWAN(RS485-LB)LTE-M(LTE-M v2 基板)
ゲートウェイ必要不要(基地局に直接)
通信費ゲートウェイの回線費のみ1 台ごとに SIM の月額
電源電池電池
向いている場面1 つの圃場やハウス群に、センサーを多点で置く離れた圃場に 1〜数台ずつ、点在して置く

1 つの農場の中で水分のばらつきを見るなら、ゲートウェイ 1 台で多点を集められる LoRaWAN が素直です。離れた圃場を 1 台ずつ見るなら、ゲートウェイの設置と保守が要らない LTE-M が向いています。要は、「拠点ごとのゲートウェイの固定費」と「1 台ごとの SIM 回線費」の比較になります。

まとめ

土壌水分は、潅水や施肥の判断に直結するデータです。センサーの値を信頼して判断に使えるなら、それを「どこからでも見られる」ようにする通信の部分は、当社のような IoT インテグレーターの出番です。

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この記事の持ち帰り 3 点
- センシフィア社の SFDT 方式土壌水分センサーは、RS485/Modbus-RTU で既存の通信デバイスにつなげられる
- Dragino RS485-LB(LoRaWAN)でも、当社 LTE-M v2 基板(LTE-M)でも、同じように体積含水率と土中温度を遠隔で取れた
- 多点なら LoRaWAN、点在なら LTE-M。現場の置き方に合わせて無線を選べる

改めて、貴重な試作機をお貸しくださった株式会社センシフィア様に感謝申し上げます。


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当社でできること
- RS485/Modbus インタフェースのセンサーの IoT 化(LoRaWAN / LTE-M どちらでも)
- 農業センサーをはじめとした、センサー接続の検証と試作
- 通信キャリア(Soracom 等)から、ダッシュボードやスマホアプリまでのシステム構築
- センサー試作機の IoT 化・接続検証のご相談 → [そのセンサー、つなぎます。](/services/sensor-iot/)

参考情報