はじめに
設備が止まっていた。原因はブレーカーが落ちていたこと。でも、誰も、いつ落ちたのか気づいていなかった ―― こんな経験はないでしょうか。
無人の拠点、天井裏の分電盤、遠くの倉庫やポンプ小屋。ブレーカーは「落ちたこと」を自分からは教えてくれません。気づくのは、たいてい「何かが動いていない」と分かった後。そのタイムラグが、食材の廃棄や、機械の停止や、クレームに変わります。
この記事は、その「気づけない」を、電池だけで数年動く小さな箱ひとつで解決してみた、という話です。

左から、監視対象のサーキットブレーカー、電源(PSU)、そして今回の主役・電池で動くLoRaWANセンサー(SN50v3-LB)。この3つだけで「遠隔ブレーカー見張り」が成立します。
こんな困りごと、ありませんか
- 落ちても気づけない。 現地に行くか、何かが止まって初めて分かる
- 状態を見に行くコストが高い。 遠い・高所・無人。確認のためだけに人が動く
- 「落ちた」の意味が分からない。 誰かが手で切ったのか?異常で落ちた(トリップ)のか?それとも停電・電源トラブルなのか? ―― 原因で対応がまるで変わるのに、遠隔では区別できない
- 配線工事や電源確保が面倒。 監視のためにわざわざ電源を引きたくない。できれば電池で、数年ほったらかしで動いてほしい
つくったもの:電池で数年、状態を送ってくるブレーカー見張り
やることはシンプルです。警報・補助接点が付いているタイプのブレーカーを使い、その接点(状態を知らせる小さなスイッチ)を電池式のLoRaWANセンサー(Dragino SN50v3-LB)で読み取って、状態が変わった瞬間に無線で通知します。ブレーカーには接点付きのものとそうでないものがあるため、あらかじめ接点付きの製品を選定するのがポイントです。
- 電池だけで数年 ―― 監視のための電源工事が要らない
- LoRaWANで遠くまで ―― 天井裏や離れた小屋からでもクラウドに届く
- 変化した瞬間に飛ぶ ―― 「落ちた」をリアルタイムで知れる
構成イメージ
細かい結線ではなく、全体の “つながり方” です。ポイントは、左の電力系統(監視対象)と、右の監視系統(電池+無線)が、「接点の状態を読む」細い線だけでつながっていて、電力はいっさい共有していないこと。だから監視対象が丸ごと死んでも、監視側は生き続けます。

電力を共有しないので、停電やサージの巻き添えを受けにくく、配線工事も要りません。つながっているのは「状態を読む」ための細い接点線だけです。
いちばんの推し:「落ちた」を撃ち分ける
このシステムの肝は、ただ「落ちた/入ってる」だけでなく、その “落ちた” が何なのかを見分けられる ことです。
| 送られてくる状態 | 意味 | あなたが取る行動 |
|---|---|---|
| 🟢 正常運転 | いつもどおり動いている | なにもしなくてよい |
| ⚪ 手動でオフ | 誰かが意図的に切った | 想定内。慌てて駆けつけなくてよい |
| 🔴 異常トリップ | 過電流など異常で落ちた | 要対応。すぐ確認へ |
| 🟡 電源が失われた | 停電/電源トラブル | 電源側を疑う |
「アラートが鳴った → でも行ってみたら誰かが手で切っただけだった」―― このムダな駆けつけを減らせるのが、地味ですが大きい価値です。逆に、本当に危ない異常トリップは見逃さない。
もうひとつの推し:電源系とネットワーク系を、完全に切り離せる
ここが個人的にいちばん効くと思っているポイントです。
このシステムは、センサーが 自前の電池 で動き、無線(LoRaWAN) でデータを送ります。つまり、監視のための電力もデータの通り道も、監視対象の設備とは何ひとつ共有していません。 だから ――
- 見張っている電源が丸ごと死んでも、センサーは平然と「電源が落ちました」と送ってくる
- 電源側で起きたトラブル(停電・サージなど)が、監視の仕組みまで道連れにしにくい
- 電気工事もネットワーク配線も要らないので、後付けしやすく、コストも低い。 監視したい場所に、ポンと置くだけ
動作試験でも「電源をわざと殺す」ことをしましたが、電池で動くセンサーは即座に異常を通知しました。電源系とネットワーク系が独立している からこその挙動です。しかもこれが、比較的安価に実現できます。
実際に動かしてみた
試作機を組んで、実物のブレーカーで動作を確認しました。ブレーカーを入れる・切る・電源を抜く…といった操作をするたびに、数秒以内にちゃんと状態が飛んでくる ことを確認できました。「手動で切った」ときと「電源が失われた」ときを、届いた通知だけで見分けられています。
うれしいポイントまとめ
- 気づける:落ちたらすぐ通知
- 見分けられる:手動・異常・停電を撃ち分け、対応を最適化
- 独立している:電源系ともネットワーク配線とも切り離されているので、監視対象が死んでも監視は生き続ける。共通トラブルの巻き添えを受けにくい
- 工事いらず・安価:電池駆動で数年、電源もLANも引かなくていい。後付けしやすく低コスト
- 既存設備そのまま:ブレーカーの標準的な接点を使うだけ
まとめ/これから
「ブレーカーが落ちたことに気づけない」というありふれた、でも地味に痛い問題を、電池式の小さなセンサー1つで解けそう、というところまで来ました。
次は、実際の異常トリップまで含めた仕上げの検証と、通知の見せ方(スマホ/ダッシュボード)を詰めていきます。
- 遠隔地・無人拠点のブレーカー/電源状態の見える化のご相談
- Dragino社LoRaWANセンサーの選定・接続設定
- LoRaWANゲートウェイからクラウド・通知までのシステム構築支援
参考情報
今回使用した Dragino SN50v3-LB をはじめとする LoRaWAN デバイスは、当社ECサイトでお取り扱いしております。
「こんな設備の状態を遠隔で見張りたい」といったご相談は、お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。
