火災警報器もLoRaWAN化できる!住宅用火災警報器のIoT化の電子工作

火災警報器もLoRaWAN化できる!住宅用火災警報器のIoT化の電子工作

火災警報器もLoRaWAN化できる!住宅用火災警報器のIoT化の電子工作

はじめに

「火災警報器が IoT 化できたら便利なのに…」

そんな声を聞くことが増えてきました。特に、複数の建物や広い施設を管理する場面では、各所に設置された火災警報器の状態を一元的に監視できれば、安全管理の効率は格段に向上します。

実は、既存の住宅用火災警報器も、LoRaWAN を使えば簡単に IoT 化できるんです。

今回は、市販の火災警報器(Panasonic SHK48455K)と、当社でも取り扱っているDragino SN50v3の旧製品である LSN50v2 を組み合わせて、火災検知情報をリアルタイムで遠隔監視できるシステムを構築した実証実験についてご紹介します。

完成図

- 完成の図 -

※デモ機として、SN50v3 がないので、LSN50v2 を利用していますが、SN50v3 でもほぼ同様に実装可能です。


なぜ火災警報器の IoT 化が必要なのか?

現状の課題

従来の住宅用火災警報器は、その場で音を鳴らすだけの「スタンドアロン型」がほとんどです。これには以下のような課題があります。

warning   Warning
- 不在時には火災を検知しても通知を受け取れない
- 複数の建物を管理する場合、各所を巡回確認する必要がある
- 電池切れや故障の発見が遅れる

IoT 化で実現できること

火災警報器を LoRaWAN でネットワーク化することで、これらの課題を解決できます。

check_circle   Tips
- リアルタイム通知: 火災検知と同時にスマートフォンや PC に通知
- 一元管理: 複数拠点の火災警報器を 1 つのダッシュボードで監視
- 履歴管理: 検知履歴をデータとして保存・分析
- メンテナンス効率化: 電池残量や動作状態を遠隔確認

今回の取り組み概要

システム構成

今回は、以下のような構成で工作を行いました。

  1. 火災警報器: Panasonic SHK48455K(煙感知タイプ)
  2. LoRaWAN センサー: Dragino LSN50v2
  3. インターフェース回路: LED 点滅信号検出回路(AVR マイコン ATTiny202 を使用)
  4. LoRaWAN ゲートウェイ: Dragino LPS8N-JP
  5. ネットワークサーバー: The Things Stack SandBox

動作の仕組み

火災警報器が作動すると、以下の流れでデータが送信されます。

火災検知 → LED点滅 → 信号検出 → LSN50v2 → LoRaWAN → クラウド

ポイントは、火災警報器の LED 点滅信号を検出することで、警報器本体を大きく改造することなく IoT 化を実現している点です。これにより、既存の火災警報器の基本機能や安全性を損なうことなく、IoT 機能を追加できます。


技術的なポイント(簡単に)

1. 信号の取り出し方

火災警報器が作動すると、警報音とともに LED が 1 秒周期で点滅します。このLED 点滅信号を検出して、AVR マイコン ATTiny202を使ってデジタル信号に変換しています。

  • 待機中:High 信号
  • 火災検知中:Low 信号

信号

- 信号の様子 -

実は、火災警報器 SHK48455K の LED 点灯パタンはいくつかあります。今回は、1つのパタンしか実装していませんが、アプリケーション側で close している期間から火災警報器で起こっている事象を判断することができます。


2. 低消費電力設計

IoT 化で重要なのは電池寿命です。工夫することで、待機時にはマイコンを sleep 状態に遷移、未使用ポートのプルアップにより低消費電流化(待機時平均電流 0.11uA)することができました。


3. LoRaWAN 通信

Dragino LSN50v2 の割込み入力(PB14)を利用することで、火災検知の瞬間に即座にデータを送信できます。

  • 火災検知時: DoorStatus “Open” として通知
  • 復旧時: DoorStatus “Close” として通知

シンプルですが確実な通知方式です。


実際の動作デモ

実験では、火災警報器のテストボタンを押して動作を確認しました。

テストボタンを押すと、即座に The Things Stack のコンソールに検知情報が表示されます。レスポンスも良好で、実用レベルの動作を確認できました。


動作テスト

- バラック構成での動作確認 -

応用の可能性

この技術は、様々な場面で活用できます。

1. 集合住宅・マンション管理

管理会社が全戸の火災警報器を一元監視。異常時には即座に対応可能。

2. 工場・倉庫

広大な施設内の火災警報器をネットワーク化。初期消火の迅速化。

3. 高齢者施設・介護施設

入居者の安全を 24 時間体制で見守り。夜間の少人数体制でも安心。

4. 別荘・空き家管理

普段は無人の建物でも、火災発生時には即座に通知を受信。


まとめ

今回の実験で、既存の火災警報器も簡単に LoRaWAN 化できることが証明されました。

check_circle   Tips
ポイント:
- 市販の火災警報器をそのまま活用
- 超低消費電力で長期運用可能
- LoRaWAN による長距離・安定通信
- 既存の IoT インフラに統合可能

火災警報器の IoT 化は、単なる技術的な興味だけでなく、実際の安全管理の効率化に大きく貢献します。特に、人手不足が深刻化する中、このような既存設備のスマート化は重要なソリューションとなるでしょう。

完成図 表完成図 裏
表裏

身の回りにある「アナログな機器」も、工夫次第で IoT 化できる。そんな可能性を感じていただければ幸いです。

なお、今回使用した Dragino LSN50v2 の後継機種SN50v3-LB/LSは、当社 EC サイトでもお取り扱いしております。火災警報器に限らず、様々な機器の IoT 化にご活用いただけます。

皆様のアイデアで、もっと安全で便利な社会を一緒に作っていきましょう!