熱電対とLoRaWANの出会い

熱電対とLoRaWANの出会い

熱電対とLoRaWANの出会い

突然ですが、

群馬県太田市が LoRaWAN で熱い! スマートシティで熱い!

のはご存知でしょうか? 群馬大学理工学部のキャンパスが太田市にあり、理工学部の先生方のさまざまな取り組みが点から線、そして面へと広がった出来事のようです。

今回は、群馬大学太田キャンパス ICT 研究会による LoRaWAN を活用した実験データ計測の事例についてご紹介したいと思います。


1. 群馬県太田市が LoRaWAN で熱いって何よ!?

“太田市 LoRaWAN”で検索すると、すぐに情報が見つかります。

上毛新聞 2023.9.9 リリース記事

群馬・太田市、デジタル技術「LoRaWAN(ローラワン)」本格活用へ 省電力通信で地域課題解決 体育館温度管理や路線バス情報提供(上毛新聞)

これより前段階から、群馬大学の先生方と太田市は、地に足のついた活動をされていたこともわかります。


群馬大学理工学部 2023/2/24 発表

【太田市との実証実験】地域課題解決に向けた低電力広域ネットワークの活用について


TTN Mapper で見る異様な様相

世界最大オープンコミュニティ The Things Network で利用が拡大しているLoRaWAN サーバ The Things Stack Community Edition を経由したデータを、マップ上で可視化する TTN Mapper で見れば一目瞭然です。


TTN Mapper


なぜか、群馬(太田、前橋、高崎エリア)だけ、ゲートウェイの設置数、パケット通過数が、他のエリアと比べて、非常に多いことがわかります。残念ながら、人口の多い首都圏は、スカスカです…


2. 群馬大学太田キャンパス ICT 研究会での取り組み

太田エリアでの盛り上がりにおいて、群馬大学理工学部の先生方を抜きにして語ることはできません。

太田市役所との取り組みの前から、LoRaWAN の可能性を感じられ、先生方が独自にさまざまな取り組みをされていたようです。市役所との取り組みとは別に、先生方の研究実験において、LoRaWAN を使ったデータ計測をされているようです。

今回は、群馬大学太田キャンパス ICT 研究会様よりご快諾をいただいて、当社の機能拡張型 LoRaWAN 温度・湿度センサーELmote® EM-ELHT01を使った利用例を簡単にご紹介したいと思います。


2.1. 背景・目的

私は門外漢の分野なので実際に何が行われているかわかりませんが、アルミニウム溶湯における金属の温度測定が対象です。想像通り金属なので、高温(800℃ とか)域での測定です。

そのため、ELmote® EM-ELHT01 の標準の外付け温度プローブでは対応できません。

2.2. 実験装置

幸い、ELmote® EM-ELHT01 はADC 入力があり、専用プローブかデバッグ用ケーブルを利用することで、アナログ値(但し、0.1 V 〜 1.1 V)を取り込むことが可能です。

そこで、実験としては、以下のような構成で、対象金属の温度の測定を実施されたとのことです。

info   Info
1. ELmote® EM-ELHT01
2. デバッグ用ケーブル
3. K 熱電対(温度センサー)
4. 熱電対センサアンプ基板


Equipments
実験装置の外観
(西田 進一 助教, 群馬大学 大学院理工学府 知能機械創製部門)

余談:西田先生は電子工作もされてしまうので、この手のカスタマイズはお手のもの。

2.3. 計測結果

室温付近での測定値のドリフトがあるようで、100℃ 沸騰水でキャリブレーションし、高温の金属を計測した結果、ベンチマークと変わらず温度の測定ができているとのことです。

おそらく、今後はさらにデータ取りをし、実験として成立する測定誤差内でデータが取得できるのか否かの検証が必要になるのだろうと思います。検証結果が楽しみです。


3. 門外漢による妄想的考察

最後に、この類の分野の門外漢による妄想的考察です。 ここまで読んでいただいた方の中には、

なんで、無線、しかもLoRaWANでデータ飛ばしてんの?

と、疑問に持たれている方がおられると思います。そもそも、この手の実験装置には、データログ機能が必ずあるはずです。

しかしながら、実験装置にデータログ機能があったとしても、そのログを見る手段が制限されている場合が多いです。

  • その装置のところまでいって、装置の画面で確認
  • ファイルを取り出して、PC で見る

など、実験装置の機能制約によるものです。

これだと、不便だな〜と思うことがあるはずです。例えば、

  • 複数の実験装置を、いくつかの部屋で動かしている
  • それらの実験状況を、まとめて(自分の部屋で)見たい
  • なんとなく、実験進捗を見ておきたい
  • 異常があったら、アラート出して欲しい

などのニーズがありそうです。

最新の装置類なら、このようなニーズを満たしているかもれません。ただ、すぐに実験装置を交換するということもできないはずです。

そんなときに、今回のような手軽な装置で、簡単に遠隔にデータを飛ばして、どこからでも実験状況が把握できるのは、とても便利な気がします。

もちろん、WiFi や BLE などを利用するのも良いです。それでも、

  • 電源のことを気にしなくて良い
  • ゲートウェイの設置台数が少なくできる(数フロアに 1 台とか?)

という点で、LoRaWAN を利用するのも一つの選択肢だと思います。


謝辞

最後に、改めて、ブログでの紹介記事の公開にご快諾・ご協力いただきました群馬大学 西田先生群馬大学太田キャンパス ICT 研究会の皆様に、深く感謝申し上げます。引き続き、ご指導のほどよろしくお願いいたします。