昭和風レトロラジカセSCR-3の改造

昭和風レトロラジカセSCR-3の改造

昭和風レトロラジカセSCR-3の改造

SCR-3について

5年ほど前、ショッピングサイトに出品されていたレトロなデザインのラジカセ(SANSUI SCR-3、写真1)ですが、中学生の頃買ってもらったラジカセを思い出し、懐かしさのあまりポチってしまいました。かつての有名なオーディオブランド”サンスイ”の名前がついていて、昭和時代を思い出させるような外観をしており、気になっていました。しかし物が届いた後、一通りの動作を確認すると、しまい込んでしまいました。最近になってしまい込んでいることを思い出し、引っ張り出して動かしてみたところ、いくつか不満な点があったので改造してみることにしました。

写真1

写真1 SCR-3外観



改造しようと思った箇所

昭和の時代、中学生だった私の楽しみは、寝床に入ってラジオの深夜放送を小さな音量で聴くことでした。このような思い出に浸りながら、このラジカセの音を聴くとき、以下の点が不満でした。


(1) 照明がダイヤルスケールだけなので、夜間にはメーターが暗くて見えない。

(2)メーターの針がほとんど振れなく、単なる飾りにすぎない。

(3)電源ON/OFFにかかわらずスピーカーからブーンというハム音が出る。

(4)ボリュームを絞ってもスピーカーからシャーというノイズが出る。

(5)AMラジオの受信音がこもっている。


(1)~(5)を改善すべく、以下のように改造を行いました。


メーターに照明をつける

手持ちに電球色LEDがあったので、メーターのケースの上側から照明するようにしました。ラジオを受信時、カセット使用時の両方で点灯します。ラジオ受信時にはラジオ回路の電源、カセット使用時にはモーター電源から図1のようにLEDを点灯するための電源を取り、ダイオードで互いの回路に電流が逆流しないようにしました。配線は写真2のように空中配線です。


図1 メーター照明回路の追加
写真2 メーター照明回路空中配線外観


メーター駆動回路をつける

カセット再生時にはVUメーター、ラジオ受信時にはチューニングメーターとして機能するようにしました。

VUメーター駆動回路

まず、VUメーターとして針を振らせるには、カセットのイコライザーアンプ出力からオーディオ信号を取り出します。この信号をOPアンプLM358で約10倍に電圧増幅、バッファ後、整流回路を経てメーターを振らせます。

チューニングメーター駆動回路

次に、チューニングメーターとして針を振らせるため、ラジオ回路から同調信号を取り出します。ラジオ回路にはDSPラジオチップKT0936が使用されており、同調LEDを点灯させるピンがあります(図4のKT0936M 8番ピン)。同調時にはこの端子にHIGHレベルの電圧(3V)が出力されます。

しかしこれでメーターを振らせると針が急にピンと動いて不自然です。そこでR、Cの遅延回路を入れて、アナログ信号っぽく針をスムーズに動かすようにしました。上記2つのメーターの駆動回路を図2に、実装状況を写真3に示します。


図2 メーター駆動回路の追加
写真3 メーター駆動回路等の基板改造箇所


ハム音への対策

スピーカから出るハム音は、電源電圧に含まれるリップル分によるものと思っていましたが、そうではありませんでした。ラジカセ筐体内で電源トランスとスピーカが接近しているため、電源トランスの漏れ磁束をスピーカのボイスコイルが拾って発生していました。

電源トランスをシールドしても解決は難しいので、いっそのこと電源トランスを撤去し、トランス式のACアダプタでDC電源を供給するようにしました。写真4のようにACコードのコネクタを除去してDCジャックに付け替えました。これにより完全にハム音をなくすことができました。

写真4 トランス撤去とDCジャック化


ノイズの低減

ラジカセのパワーアンプにはKA2206BというICがブリッジ接続で使用されています。データシートを調べると、電圧ゲインはICの9番ピンの抵抗Rfの値により可変できるとありました(図3)。基板上のプリントパタンを追っていくと、抵抗Rfは実装されてなく電圧ゲイン最大で使用されていました。ゲイン最大のためノイズが大きく聞こえてくるようでした。

これは本ラジカセのスペックにある4.8Wの出力を得るために必要な電圧ゲインと思いますが、大音量で使用することはないので、電圧ゲインを下げることにしました。写真3のように9番ピンに繋がるプリントパタンをカットして150Ω程度のチップ抵抗を挟むことでノイズが小さくなり、夜間に小音量で聴く際にも気にならないレベルとなりました。さらに小音量でのボリューム調整が楽になりました。

図3 パワーアンプ回路のゲイン調整


DSPラジオチップの設定変更

ラジオ回路に使用されているDSPラジオチップKT0936は、EEPROMが接続されている場合には、電源ON時にEEPROMから設定データを読み込み、動作条件を初期設定します。EEPROMが接続されていないときはKT0936が持つデフォルト値を使って初期設定します。本ラジカセでは当初、EEPROMは実装されてなく、KT0936のデフォルト値を使うようになっていました。設定データには、データシートのp.22に記載されているEEPROMアドレスAMDSP0(Address 0x62) 2~0ビットの設定値のように、AM受信音の帯域を決定するデータも含まれています。

そこで写真3、図4のようにEEPROMを追加して設定値を変えられるようにしました。デフォルト値では2.4kHz(bit001)となっているところを3.6kHz(bit010)に拡大すると、クリアな受信音となりました。

図4 DSPラジオ回路にEEPROM追加


昔のナショナルやソニーのラジカセに比べるとまだまだチープ感は拭えませんが、出てくる音の品位が改善され、メーターもそれらしく振れるようになったので、これで今回の改造はいったん終了としました。最後にチューニング時のメーターが振れる様子を示します。